地味地味フォリオ

ChatGPTに指摘された「バリュエーション不足」を解消した話

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はじめに

前回の記事で、Claude Sonnetが生成したポートフォリオ考察レポートをChatGPTに評価してもらいました。

10個の改善点を指摘されたのですが、その中で**「最も不足している」**と言われたのがバリュエーション分析でした。

「レポートでは配当利回りには触れていますが、その配当が維持可能か、利益に対して株価が高いのか安いのか、還元余力があるのかまでは踏み込めていません」

この指摘を受けて、ポートフォリオダッシュボードにバリュエーション分析機能を追加しました。

追加した指標

yfinanceから取得可能な10の財務指標を追加しました。すべて無料で取得できます。

  • PER(株価収益率): 利益に対して株価が高いか安いか
  • PBR(株価純資産倍率): 資産に対して株価が高いか安いか
  • ROE(自己資本利益率): 株主資本をどれだけ効率的に使っているか
  • 配当性向: 利益のうちどれだけを配当に回しているか
  • 営業利益率: 本業の稼ぐ力
  • D/Eレシオ: 借金の多さ(財務の健全性)
  • EPS(1株利益): 1株あたりの利益
  • 売上成長率 / 利益成長率: 成長の勢い
  • 予想PER: 将来の利益予想に対する評価

これらを使って、3つの視点からバリュエーションを評価しています。

3つの比較基準

1. 絶対基準

一般的なバリュー投資の閾値で機械的に判定します。

  • PER 12未満 → 割安、12〜20 → 適正、20超 → 割高
  • PBR 1.0未満 → 割安、1.0〜1.5 → 適正、1.5超 → 割高
  • ROE 12%超 → 優良、8〜12% → 良好、5〜8% → 普通、5%未満 → 要改善
  • 配当性向 40%未満 → 余力十分、40〜60% → 適正、80%超 → 要注意

シンプルですが、一目で「この銘柄は割安か割高か」が分かるようになります。

2. セクター平均との比較

同じ業種のETFのPER・PBRと比較して、セクター内での位置づけを判定します。

たとえば銀行業の平均PERが10倍のとき、自分の銀行株のPERが8倍なら「セクター内割安」。逆に15倍なら「セクター内割高」となります。

同じPER15倍でも、IT企業なら「割安」、銀行なら「割高」。セクター特性を考慮した比較ができるようになりました。

3. 過去の自分との比較

毎週の指標を履歴として蓄積し、前週との変化方向を追跡します。

運用開始直後なので現時点では比較データがありませんが、数週間後には「PERが先週より上がった(割高方向に動いた)」といったトレンドが見えるようになります。

分かったこと

実際にバリュエーションを可視化してみて、自分が割安だと思っていた銘柄が意外に割高判定だったのが一番の驚きでした。

含み益が出ている銘柄は「うまく買えた」という感覚がありましたが、PERやPBRで見ると、株価が上がった分だけ割高になっている。当然のことですが、数値で突きつけられると認識が変わります。

逆に、含み損の銘柄がバリュエーション上は割安と判定されるケースもありました。これは「安く買えている」とポジティブに捉えることもできますが、「割安なのに上がらない理由がある」とも読めます。

割安・割高が分かっただけでは判断はできない。大事なのは、割高と判定された銘柄を「それでも保有する理由」が明確にあるかどうかです。

無料でここまでできる

バリュエーション分析というと、Bloomberg端末や有料の金融データサービスが必要なイメージがあるかもしれません。

でも実際には、yfinance(無料のPythonライブラリ)でPER・PBR・ROE・配当性向・営業利益率・D/Eレシオまで取得できます。セクターETFのデータも同様に無料です。

月額0円で、17銘柄のバリュエーションが毎日自動更新される。個人投資家にとって、これは十分すぎる環境だと思います。

AIが改善を教えてくれるサイクル

今回の開発で改めて感じたのは、AIに評価してもらうことで改善点が明確になるというサイクルの有用性です。

  1. Claude Sonnetがポートフォリオレポートを生成
  2. ChatGPTが「バリュエーションが不足」と指摘
  3. 指摘を受けてバリュエーション機能を実装
  4. 次回のSonnetレポートにバリュエーションが反映される

AIの成果物をAIに評価させて、その結果を次の開発に活かす。このループが回り始めると、システムの質が着実に上がっていきます。

今後やりたいこと

割安・割高は可視化できました。次の課題は**「割高でも保有すべき銘柄」と「売却すべき銘柄」を判断するルール作り**です。

優待目的で買った銘柄が割高になった場合、優待の価値を含めてもなお保有に合理性があるのか。配当が高くてもROEが低い銘柄は、資本効率の観点から見直すべきなのか。

こうした判断基準を、生成AIを活用して言語化・ルール化していきたいと考えています。感覚的な投資判断を、少しずつデータとルールに基づいた判断に進化させていく。それが、このプロジェクトの次のステップです。

まとめ

ChatGPTに「バリュエーションが不足」と指摘されたことをきっかけに、PER・PBR・ROE等の財務指標をダッシュボードに追加しました。

yfinanceを使えば無料で十分な指標が取得でき、絶対基準・セクター平均・過去比較の3軸で可視化できます。

自分が割安だと思っていた銘柄が実は割高だったという発見は、バリュエーションを数値化したからこそ得られた気づきです。

AIに作らせて、AIに評価させて、その指摘で改善する。地味なサイクルですが、確実にシステムが育っています。

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