はじめに
ポートフォリオダッシュボードにバリュエーション分析を追加してから、ある事実に気づきました。
割高と判定された銘柄があるのに、「だからどうする」のルールがない。
「いつ買うか」は考えるのに、「いつ売るか」は曖昧なまま。これは多くの個人投資家に共通する課題ではないかと思います。
そこで、ChatGPTとClaude、2つのAIに壁打ちしながら、A枠・B枠・C枠それぞれの出口ルールを策定しました。
なぜAIに壁打ちするのか
売買ルールを自分だけで考えると、どうしても甘くなります。
含み益が大きい銘柄は「まだ上がるかも」と利確を先送りし、含み損の銘柄は「そのうち戻るだろう」と損切りを避ける。人間の心理として自然ですが、投資判断としては危うい。
AIに壁打ちすると、感情を排除した視点で指摘してくれます。しかも、ChatGPTとClaudeでは視点が少し違うので、両方に相談することで多角的なルールが作れました。
A枠(コア)の出口ルール
A枠は長期保有の中核銘柄。原則として「簡単には売らない」枠です。
最初に私が作ったルールは、「減配が発表されたら売却検討」「ROEが3期連続5%未満なら見直し」というシンプルなものでした。
ChatGPTに見せたところ、以下の改善を指摘されました。
「減配」は理由を分けるべき。 記念配当の剥落と普通配当の減配では意味が全く違う。普通配当の減配や配当方針の後退を重視すべき。
「配当利回り3%以上なら保有」は危険。 株価が下がった結果として利回りが高く見えているだけのケースがある。配当性向・営業CF・業績安定も条件に加えるべき。
いきなり売却ではなく段階制にすべき。 ①継続 → ②買い増し停止 → ③B枠降格 → ④一部売却 → ⑤全売却。段階を踏むことで感情的な売買を防げる。
この段階制は、今回の壁打ちで最も実用的だと感じた改善です。
B枠(準コア)の出口ルール
B枠はA枠候補として中期保有する枠。A枠より柔軟に判断します。
ChatGPTからの主な指摘は、
業種ごとに基準を補正すべき。 銀行・鉄道にD/Eレシオ100%以下の基準を一律適用するのは不適切。業種別の指標で判断する。
構成比は段階制に。 7%超で買い増し停止、10%超で利確検討、12%超で圧縮。
C枠への降格は「逃げ場」にしない。 投資仮説が崩壊したらC枠ではなく売却。C枠降格は優待やテーマなど別の保有理由がある場合だけ。
また、B枠からA枠への昇格について、私から「増配が確定してからでは株価が上がってしまうのでは」と質問したところ、ChatGPTから**A-枠(先行昇格)**の概念を提案されました。増配確度が高い銘柄を正式発表前にA枠候補として厚めに持つ仕組みです。
これは非常に実践的なアイデアでした。
C枠(サテライト)の出口ルール
C枠は優待・テーマ・検証目的の枠。A/B枠と違い、機械的に管理すべき枠です。
ChatGPTの評価は80点と、3枠の中で最も高い評価でした。
主な改善点は、
利確割合を具体化する。 +100%で25〜33%利確、+200%で元本回収、+300%以上でさらに圧縮。
損切りラインを追加する。 -20%で損切り検討だけでなく、-30%で原則売却ルールを追加。C枠は仮説検証枠なので、大きく下がった時点で仮説が否定されている可能性が高い。
C枠全体の上限を設定する。 1銘柄5-8%だけでなく、C枠全体で全資産の15-20%まで。サテライトだらけのポートフォリオを防ぐ。
特にMTG(銘柄C、+251%)はルール上すでに利確フェーズに入っていることが明確になりました。
Claudeの視点
ChatGPTがフレームワーク化(表形式での整理、段階制の提案)に強い一方、Claudeには別の強みがありました。
「このルールで実際に先行昇格できるか」という実装面の検証。 ルールを定義しても、判断に必要なデータ(配当方針、連続増配年数、DOE目標)がシステムにないと機能しない。Claudeはこのギャップを指摘し、何が自動取得可能で何が手動入力が必要かを整理しました。
結論として、増配期待スコア12点中9点分はyfinanceで自動取得可能。残り3点分(配当方針・還元姿勢)は四半期に1回、ChatGPTアプリで各銘柄を調査して手動更新するのが最もコスパが良いという結論に至りました。
完全自動化より、手動+AIのハイブリッドが現実的。 これも今回の重要な学びです。
壁打ちで得られた最大の気づき
出口ルールを策定する過程で最も大きかった気づきは、**「ルールがあるだけで判断が変わる」**ということです。
MTGが+251%で構成比9.5%。ルールがなければ「すごい、まだ上がるかも」で終わります。でも「C枠の+200%超は一部利確」というルールがあれば、感情に流されず冷静に判断できます。
ルールに従うかどうかは別として、判断の基準が明文化されていることの安心感は想像以上に大きいものでした。
今後のアクション
策定したルールを実運用に載せるために、以下を進める予定です。
- stocks.yamlにルールを記録: 各銘柄の投資仮説・出口条件を明文化
- 週次レポートでの自動チェック: Sonnetがルール抵触銘柄を毎週指摘
- 四半期の銘柄リサーチ: ChatGPTアプリで配当方針等を調査・更新
- 増配期待スコアの自動算出: yfinanceデータで9項目を自動計算
まとめ
ChatGPTとClaudeに壁打ちして、A枠・B枠・C枠の出口ルールを策定しました。
一番の学びは、AIに壁打ちすることで、自分では甘くなりがちなルールが具体化されるということ。段階制の導入、損切りラインの追加、C枠全体の上限設定。どれも自分だけでは出てこなかった視点です。
そしてもう一つ。完全自動化が常に最善ではない。 配当方針の調査は手動+AIのハイブリッドが最もコスパが良い。トークン削減の教訓と同じく、「引き算の設計」が大事だと改めて感じました。
ルールは作って終わりではなく、運用しながら磨いていくもの。地味にコツコツ、AIと二人三脚で。