本記事は個人が公開データを集計した検証結果の共有であり、投資助言では ありません。特定の銘柄の売買を勧めるものでもありません。数値はすべて 過去の実績で、将来を示すものではありません。
高配当株を15銘柄で持つとき、配当と株価から作った条件で減配をどこまで避けられるのかを実データで検証した。
結論から言うと、配当と株価から作った条件では避けられなかった。
検証に使った条件は次の5段階である。
| 段階 | 条件 | 減配率 | 5年間の受取配当 | 選べる会社の数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 高配当グループ全体(配当利回り上位25%) | 20.59% | 5.20倍 | 491社 |
| 2 | 利回りが高すぎる銘柄を除く | 16.16% | 5.31倍 | 368社 |
| 3 | さらにプライム市場に限る | 14.11% | 5.50倍 | 161社 |
| 4 | さらに前年に減配していない銘柄に限る | 13.46% | 5.45倍 | 125社 |
| 5 | さらに前年に株価が下がっていない銘柄に限る | 10.16% | 5.59倍 | 10社 |
「選べる会社の数」は13年度のうち最も少なかった年の社数。5年間の受取配当は5.0倍が横ばいの基準(1株あたり年100円の配当を5年間受け取れば500円=5.0倍)。減配の定義は前年比10%超の減少。
まず前提として、減配は取り戻せない。2020年に減配した282銘柄を5年追った結果、71.6%が配当額そのものは元の水準に戻したが、5年間の受取総額は中央値4.67倍(横ばい基準5.0)にとどまり、減配しなかった群の5.70倍に届かなかった。
しかも減配は繰り返す。前年に減配した銘柄は翌年も減配しやすく、この傾向は12年度中10年度で観測された。
次に、減配は平均的には起きない。危機時に集中する。平時は15銘柄中2.6社だが、2020年度は7.1社だった。
図1:減配は毎年同じように起きるのではなく、特定の年に集中する。
棒1本が1年分で、高配当株を15銘柄持っていた場合に、その年に何社が減配したかを表す。ほとんどの年は2〜3社にとどまるが、コロナ禍にあたる2020年度だけは7.1社と、半分近くが減配した。13年間の平均は2.6社だが、この平均値は2020年度に大きく引き上げられている。「毎年決まった割合で減配が起きる」という読み方は実態と合わない。
集計対象:配当利回り上位25%の日本株、2011〜2023年度。減配の定義は前年比10%超の減少。母集団の減配率を15銘柄あたりに換算した。
その前提でスクリーニングを段階的に厳しくしたところ、減配率は20.59%から10.16%へ半減した。
ところが5年間の受取配当は5.20倍から5.59倍へ、わずか7.5%しか増えなかった。一方で候補は491社から10社へ98%消えた。
図2:条件を厳しくしても、増えるはずの受取配当だけが動かない。
横軸は絞り込み条件を左から順に1つずつ足していったもので、右へ行くほど条件が厳しい。縦軸は一番左(高配当グループ全体)を0%としたときの変化率。減配率の線は右へ行くほど下がり、最終的に半減する。選べる会社の数はそれ以上の速さで落ち、最後は98%が消えて10社しか残らない。ところが5年間の受取配当の線はほぼ水平のままで、右端でも+7.5%にしかならない。減配を減らすために大量の候補を捨てているのに、肝心の受取額が増えていない。
集計対象:図1と同じ。条件は一覧表の5段階に対応する。
さらに「前年に減配していない」を足した段階では、減配率が下がったのに受取配当はむしろ減っている。
ただし今回使った条件は配当と株価だけで、財務指標は1つも入っていない。財務データが2021年以降しか手元になく、13年分の検証ができないためだ。財務で減配を予測できるかは未検証のまま残る。
現在保有のデータで言えるのは、絞り込みの努力より「減配は来る」前提での設計に労力を向けた方がよさそうだ、ということまでである。
この検証の限界
- 上場廃止になった銘柄がデータに入っていない。減配して株価が沈み、最終的に上場廃止になった会社は最初から数えられていないため、回復率71.6%は実態より高く、減配率は実態より低く出ているはずである。一部を測ったところ、廃止された28社のうち19社は消える前の配当開示がなく判定できなかった。判定できた9社の減配率は55.6%で、生き残った銘柄の3倍近い。
- 条件はすべて同じ13年間のデータを見て見つけたものであり、同じデータで測れば良い結果が出て当たり前である。探索であって検証ではない。
- 追跡は5年まで。12年持った場合は見ていない。
- 中央値の話であり、個別には回復しなかった銘柄も大きく増配した銘柄もある。
- 税金・売買コストは含んでいない。