はじめに
子育てで時間がない中、AIで投資を効率化できないかと試行錯誤していたら、個人用の株式情報監視システムができてしまいました。
スマホ一台、Claude Codeを相棒に。通勤電車、湯船の中、寝かしつけ後のベッド…あらゆる隙間時間を活用しての開発記録です。
作ったものの全体像
ざっくり、こんなものを作りました。
- 平日の市場時間中、適時開示情報を自動収集
- AI(Claude)で重要度を判定し、要約・株価への影響を考察
- 重要度が高い開示はメールで即時通知
- 翌朝、前日のサマリーをHTMLレポートで自動配信
すべてVPS(さくらVPS)上で完全自動稼働。ClaudeAPIとVPS費用として、月額コスト1000円未満で運用しています。
作ろうと思ったきっかけ
仕事で生成AIを毎日使う中で、「これ、趣味の投資にも使えるんじゃないか」とぼんやり思い始めたのがきっかけです。
特にClaude Codeの存在を知ってからは、スマホ一台で本格的な開発ができるという体験に強く惹かれました。
子育て中で、ゆっくりPCに向かう時間はほとんどない自分でも、これなら何か作れるかもしれない。
そう思って、隙間時間にコツコツ手を動かし始めました。
開発の流れ
時系列でいうと、こんな順番で進めました。
Phase 1: VPS基盤構築
まずはVPSにOSをインストールし、SSH鍵認証への切り替え、ファイアウォール、不正アクセス対策(fail2ban)など、基本的なセキュリティ設定を整えました。
ここはClaude Codeに「これらを順番に設定して」と日本語で依頼するだけで、調査・実装・確認まで自律的に進めてくれました。
Phase 2: 適時開示の自動収集
各取引所の公開情報から、自分の保有銘柄に関する開示を抽出する仕組みを構築。
スクレイピングのマナー(アクセス間隔、User-Agent、robots.txt遵守)もClaude Codeに指示してきちんと組み込みました。
Phase 3: AIによる解析
ここがシステムの心臓部です。
取得した開示を 2パス解析 で評価する設計にしました。
- パス1: タイトルだけでざっくり重要度判定(軽量)
- パス2: 重要度が高そうなものはPDF本文も読み込んで精密分析
これにより、Haiku 4.5モデルを使えば、5ドルのチャージで数ヶ月もつレベルのコスト効率になりました。
Phase 4: メール通知
重要度の高い開示はGmailのSMTP経由で自動メール通知。
HTMLメールで重要度バッジ・要約・影響予測・元PDFリンクをスマホでも見やすくレイアウトしました。
Phase 5: HTML日次レポート
毎朝6:30に、前日の解析結果をHTMLレポートとしてまとめる機能を追加。
派手なダッシュボードではありませんが、通勤時間にサクッと確認できる程度の便利さを目指しました。
Phase 6: systemd timer による全自動化
全工程を systemd timer でスケジューリング。営業日の市場時間中は30分おきに収集・解析、朝はレポート配信、と完全自動稼働させています。
これで、自分が手を動かさなくても勝手に情報が集まってくる状態が実現しました。
苦労した点
地味に苦労した話を、3つほど。
1. スマホでSSHを使えるようにするまで
最初の関門は、スマホでSSH接続できるようにするところでした。
Termius(iOS向けSSHクライアント)を使ったのですが、キーボード操作がPCと違って戸惑い、画面のスクロールも勝手が違う。過去のコマンド出力を遡る方法が分からず詰まりました。
Claudeに聞いたら、tmuxを併用する方法を教えてくれて解決。「こんな小さなところでつまずくのか」と苦笑いしましたが、最初の壁を越えてしまえば、あとは加速度的に開発が進みました。
2. メモリ不足問題
私の契約しているVPSはさくらVPSの最も安いプランです。
そのため、Node.jsをインストールしようとしただけでメモリ不足のエラーが出てプロセスが強制終了。
ここもClaude Codeが「スワップを2GB追加しましょう」と提案してくれて、あっさり解決。最安プランでもどこまで行けるか、引き続き試している最中です。
3. パス2のバグ発見
これが一番怖い話なのですが、動作検証を依頼してバグを発見してもらった事例があります。
VPS上のClaude Code(Sonnet)では「正常に動作しています」と判断されていた処理が、スマホアプリのClaude(Opus)に出力レポートを見せたら、**「ここでテキストが2000文字で打ち切られています」**と即座に指摘。
しかも、修正プロンプトまで生成してくれて、即座に解決しました。
モデルの違いで気づける視点が変わるのは、興味深い体験でした。
印象的だったこと
これは記録として残しておきたいのですが、Claude Codeとの開発は、本当に新しい体験でした。
- 日本語で「こうしたい」と言うだけで、コードが書かれていく
- エラーが出れば、自分で原因を調査して直してくれる
- 検証も依頼できるし、レポート作成までしてくれる
ふと、仕事のことを考えました。
「データ処理のパイプラインも、Claude Codeで作れるな…」
業務利用の道もきっと広がるはずです。今度、社内のインフラ担当の方に相談してみようかな、と思っています。
そして個人的に気に入っているのが、開発結果のレポート機能です。
Claude Codeに「作業結果をMarkdownレポートにまとめて、メールで送って」と依頼すれば、自動で送信される仕組みを組み込みました。
これで、スマホとサーバーの間で作業結果を共有しやすくなり、コンテキストの引き継ぎが格段に楽になりました。
開発スタイル
開発の場所は、その時々で変わります。
- 寝かしつけ後、隣で寝ている子供の横
- 料理を作りながら、合間にチラ見
- お風呂の中、湯船でスマホポチポチ
- 通勤電車の中
スマホ一台で完結する開発スタイルだからこそ、生活のあらゆる隙間に開発の時間を入れ込めるのです。
ただし、子どもと遊んでいる時はスマホをいじらない。これは自分なりに大切にしているルールです。
実際の動作例
実際にどんな出力が得られるのか、サンプル形式で紹介します。
1. 重要開示の通知メール(リアルタイム)
重要度4以上の開示が検出されると、即座に以下のようなHTMLメールが届きます。
[件名]
[StockWatch] 重要度4 - [銘柄A]: 業績予想の修正に関するお知らせ
[本文]
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重要度: ★★★★☆ (4/5)
カテゴリ: 業績修正
銘柄: [銘柄A]
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▼ 概要
通期業績予想を上方修正。営業利益を従来比+15%に変更。
主力事業の好調と為替差益が寄与。
▼ AI考察
業績修正の規模・方向性ともにポジティブ。
セクター内でも上位の業績モメンタム。
▼ 元資料
[適時開示PDFへのリンク]
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解析モデル: Claude Haiku 4.5
処理コスト: $0.018
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スマホでも見やすいレイアウトを心がけています。
2. 日次サマリーレポート(毎朝6:30)
通勤時間にサクッと前日を振り返れるよう、HTMLレポートが毎朝届きます。
[StockWatch 日次レポート 2026/05/07]
▼ 本日の重要開示(重要度3以上)
- 09:30 [銘柄A] 業績予想修正 ★★★★☆
- 14:00 [銘柄B] 自社株買い ★★★☆☆
- 15:30 [銘柄C] 配当方針変更 ★★★☆☆
▼ 統計
- 取得開示数: 428件
- 解析対象: 5件
- 重要通知: 1件
- 処理コスト: $0.05
▼ 監視銘柄: 17銘柄
スマホアプリのClaudeにこのレポートを貼り付ければ、**「この内容を解説して」**と頼むだけで、さらに詳しい考察やアクション提案までしてくれます。
これが、本当に便利です。
課題と今後の展望
完成して動かし始めましたが、課題もまだまだあります。
現状の課題
- 通知漏れのチェックと分析精度の検証:実運用しながら、本当に拾うべきものを拾えているか、AIの判定が妥当かを、レポート記事としてまとめていきたい
- 画像PDFへの対処:テキストPDFは問題なく解析できますが、テキストが画像化されているPDF(古い様式の決算短信など)はそのままでは扱えません。OCR処理の導入を検討中
今後追加したい機能
地味なシステムですが、拡張したい機能はいろいろあります。
- 各個別銘柄の開示と株価のパターンを確認できるツール
- 日々の市況をまとめ、個別銘柄への影響を考察するツール
- 各セクターや時価総額の大きな銘柄間の資金の動きを可視化するツール
- ポートフォリオ管理用のツール
このあたりは、引き続き隙間時間で開発しながら、記事として記録していくつもりです。
まとめ
子育て中で時間がない自分でも、スマホとClaude Codeさえあれば、ここまでのシステムが作れてしまう時代です。
派手な技術スタックも、長時間のデスクワークも必要ありません。
地味にコツコツ、隙間時間を積み重ねるだけ。それでも、ちゃんと動くものができます。
同じように「時間がないけど何か作りたい」と感じている方の、何かしらの背中を押す記録になれば嬉しいです。